次の日。
いつもより早く家を出た僕は、自分の教室にやってきました。
まだ誰も来ていなくて、空気がしんとしています。
やっぱり直接聞くのは怖い。
割井君は教室のどこかにタカシを隠しているかもしれない。
みんなが登校してくるまでにそれを見つけるんだ!
まず机の中。
本人がいなくても、それを見るのは怖い。
震える手を突っ込み、中身を取り出していく。
ボコボコにへこんだアルミの筆箱。
いろんな所がびりびりに破れた教科書。
消しゴムのカスを丸めて固めたやつ。
穴の空いた靴下が片方。
コッペパンの切れ端。
嫌だなあ、という気持ちに負けそうになりながらも全部出した。
タカシは無かったです……。
次は。
僕は教室の後ろを見ました。
そこには、一人一人に用意された、扉付きのロッカーがあります。
確かここが割井君のだ。
扉に手を掛け、開こうとしたところで……。
「井内! 何やってんだおめえ!!」
心臓が止まったかと思いました。
なんと、教室の入口には割井君の姿がありました。
まだ時間はたっぷりあったはずなのに!
「何でこんなに早く……」
「朝練だよ朝練! もうすぐ相撲部の大会なんだ!!
それより俺のロッカーに何してんだよー!」
「ひっ……」
割井君がこちらに突進してきます。
僕は逃げようとして、窓際に走り、ガラスに手を突きました。
いえ、突いた気になっていただけでした。
そこは開いており、僕の体は勢いよく、真っ逆さまに落ちていきました。
-BAD END-