次の日の朝、学校に着くと、先に割井君が来ていました。
他の子の机に座って、子分の一人と楽しそうに話しています。
僕は勇気を出して、二人の前まで歩き、止まりました。
「ん? なんだあ井内。用でもあんのか!」
いきなり怒鳴られました。
子分はヒヒヒと静かに笑いながら頭を揺らしています。
「割井君、僕が持って来てた機械。知らない?」
「ああ!? 俺が盗ったって言うのかよ!!」
さっきより酷いケンマク。
僕は思わず目をつぶりました。
「井内君、割井君を泥棒扱いするなら謝れよ!」
「……謝るのは割井君のほうだよ」
「んだとぉ?」
子分が僕の肩に置いた手はそのままに、僕は言いました。
割井君は僕をへびのような目でにらみました。
「僕は機械を見てないか聞いただけだよ。
何で割井君はそれを盗まれたって言ったの?
機械の事、やっぱり何か知ってるの?」
「まだ言うのか井内君!」
「……いや、良い。井内よ。あれはな、ちょっと借りたんだ。
でも全然使い方がわからねえし、すぐに返してやるよ。
体育倉庫に隠してるから、放課後一緒に取りに行こうや」
子分は「ほんとに盗ってたのか」というようなあきれ顔で割井君を見ます。
僕は静かに首を縦に振りました。
……そして放課後。
僕と割井君は二人だけで体育倉庫の前までやって来ました。
扉を開けると、後ろから急に殴られてしまいました。
僕は吹っ飛んで、マットの上に転がりました。
「か、返してよ!」
僕が倒れたままそう言うと、割井君はあかんべーしました。
「へ、やだね! 誰が返すかバーカ!」
「……だ、大事な物なんだ! 返せ!!」
「うるせえ! 知るか! ったく俺を真っ先に疑いやがってよぉ!!」
割井君は本当に悔しそうにその場で地団駄踏みました。
「大体今日のお前は生意気なんだ!
二度と俺に逆らえないようにしてやる!!」
こっちに向かって相手が走って来ました。
⇒素手で応戦
⇒凶器で応戦
⇒タカシを呼ぶ