『ナアナア、トモヤ。良イ事デモアッタカ?』
「えっ。わかるの? 良い事じゃないけど、さっき見たテレビが面白くて」
『ヘエ! ドンナダッタ?』
「ドラマだよ。『倍技きなお』。『半分返して!』が決め台詞の……」
『良イナア。俺、テレビ見レナインダ』
「あっ……」
『気ニスンナ! 今度見ラレルヨウニ頼ンデミルカラ!』
「へえ、そしたら同じ番組見ようね」
『オウ!』
軽はずみな発言をしてしまった僕を、タカシが責める事はありませんでした。
それにしても、機械を作る人は凄いと思いました。
こんな小さな体で、テレビを見られるように改造できるなんて。
……その後も僕らは、まるで本当の友達のように話しました。
そんなある日、学校で図工の授業が終わって教室に帰ってくると、タカシが無くなっていました。
間違えてポケットに入れて持って来ちゃったのですが、先生にばれないように机に入れていたのです。
いろんな場所を探しましたが、どうしても見つからなかったです。
ショックで落ち込みながら家に帰っていると、あの時の男の人がまた現れました。
「やぁ井内君……。あの機械、使ってくれていますか?」
男の人にそう聞かれて、僕の目からぽろぽろと涙がこぼれ落ちました。
「今日……無くなっちゃったんです……」
「……そういえば、あれと同じ機械を持っている子を見ました。
あれは、あの子にはあげていないはずなのですが……」
「え?」
もしかして、タカシはその子に……。
「誰なんですか? 教えて!」
僕が男の人に一歩近づいてそう言うと、相手は微笑みながら言いました。
「構いませんが……一つだけ私と約束をしてくださいませんか?」
約束……?
「あなたがどれだけ彼の事を想っているか、それを知りたいのです。どうしますか?」
⇒約束する
⇒約束しない